「なら、一体何を探っていたんです?」
言葉の険を隠そうともせずにディンがいえば、ハクロンは簡潔に答えた
「責めてはいないが、このまま放っては置けない。『魔眼の少年』と禁を侵した少年には私と一緒に来てもらう」
皆が驚いた
この状況では何かしら処置が講じられるとは考えていたが、それよりも
『魔眼の少年』
その言葉の意味を理解して、緩やかな驚愕がフェイト以外に襲ったのだ
いつだったか、話した事がある
ベステモーナは自分の感じたフェイトに対する違和感の答えを遂に得た気がした
幻影魔法を見破ってしまったり、学園の隠し通路を見つけたり、感で危険を察知したり
内在魔力に対して、魔法が上手く扱えなかった理由は…………?
『魔法を読み解き、時には未来さえ見通す『魔眼』だろ』
『ディン、ソレって本当にあるかどうかも分からない伝説でしょう?』
笑って否定したのは確かパシィだった
『魔眼』なんて、本当にあるのか確認されたこともない
古い言い伝え、その中で人間の偉大な魔法使いが持っていたとされる
きっと
他の誰かが言ったのなら、笑って一蹴されてしまう
しかし、困ったように言ったのは水の賢者、ハクロンなのだ
ただ否定することは出来ない
更に、今までのフェイトの行動がそれを否定させてくれなかった


