水の都コウガのハクロン
その名が示すのは、代々コウガを治める龍の一族
そして、七人の賢者の一角『水の賢者』
コウガの結界はエルフの故郷、アルフヘイムに次いで有名だ
それを阻む原因を統治者自ら調べに来たまでだ
「ココは学園都市だが、今はコウガの領地内にある。だから、私の指示には従ってもらおう」
ハクロンは1人の少年に視線を向けた
顔は見たことがある
見せられた、と言うべきか
その少年がさっそくやらかしてくれたわけだ
フェイトは鈍い光を宿す瞳を見開いた
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水の中に顔を沈めた時のような感覚がした
その瞬間、心臓を捕まれたような引きつれた気分がしたのだ
肺に水が侵入する気配はない
そんな事を考える余裕があるほどにはフェイトは危機感を覚えてはいなかった
突然の理解し難い出来事もココへ来てからはたくさん起こりすぎていたからかもしれない
何より
嫌な予感がしなかったのだ
何かを探られるような感覚は不快だが、あのハクロンという青年の目からは敵意は感じられなかった
鼓動が耳のなかでうるさく鳴り響く
最後に誰かの声が聞こえた気がした


