「バンパイアの禁忌とは……正確にはなんですか?禁忌を破ると……どうなるんですか?」
しばらく無言でブラッドの汗をぬぐっていたが、ベスは静かに言った
慎重にいくべきだと思ったが、自分から言わなければブラッドは喋らないと思ったのだ
幾分か顔色の戻ったブラッドがゆっくりと息を吐いて言った
「……バンパイアは人間の……血を求める。それは本能的なモノだ……どれだけ醜い衝動でも……それが俺達の本性だ」
震えるように、ブラッドは言った
それが耐え難い苦痛のように
「……子供のバンパイアは動物の血で育つ。何より人間の血を望んでいても、早くに人の血の味を覚えてしまうと、手が付けられなくなる。最悪の場合……無差別に血を狩るようになるんだ」
バンパイアの一族は無闇に人を殺すような事はしない
血は生きていく為に必要なモノだが、バンパイアにも理性はあるのだ
そこに様々な利害が絡んではいるが
「純血のバンパイアは……その確率は低い。けど、血を欲する欲望は並みのバンパイアより強くなってしまうのも事実だ」
息を呑んだベスにブラッドは目で大丈夫だと言うように瞬いた
「俺はまだいいよ……一応純血だし……バンパイアの成人は17歳だ」
「貴方は今……」
「この間、16になった」
「そうですか……」
「……掟を破った事がばれたら査問にかけられる……そうなったら……どうなるかはわからない」
「どうしたら……いい?」
かすれたような声がベッドから上がった
ベスとブラッドが顔を向けると、フェイトが身体を起こそうとしていた


