「どういうことです?」
眉根を寄せたベステモーナにディンが答える
「魔力が枯渇すると、死んでしまう。パラサイトに寄生されたら普通は1時間弱で死ぬんだ。なのにフェイトはその倍以上持ち堪えた。つまり……」
「……尋常じゃないほど」
「フェイトの魔力は多いって事だよ………」
渇きに呻くブラッド
横たわるフェイト
バンパイアの掟破り
硬く扉を閉じて、子供達はこの先を考えた
*******
「…………?……」
目を開ければアパートの天井が目に入った
気分は最悪なのに、なぜか口の中は気持ちの良い残り香があった
訳もわからずブラッドは起き上がろうとする
しかし、それは直ぐに阻まれた
「気が付きましたか?」
ギシッと木が軋む音がした
首だけで身体を見下ろせば木の枝がブラッドの身体を拘束していた
そばでベステモーナが青い瞳を瞬かせてブラッドの様子を伺っていた
この状況を推測して、努めて冷静な声でブラッドは呟く
「大丈夫だ……俺は正気だよ」
ホッとしたようにベスが息をつく
「これ、外してくれないか?」
「わかりました」
拘束が解かれ、強張った身体をほぐすように肩を回した
視線をベッドにやればフェイトが横たわっている
首には大きな絆創膏が張られている
苦い気持ちでソレを見やって、乱れた髪を解く
「ディンとリーバは?」
室内を見渡して2人の姿が無いことに気付いてベスに視線を向ける
洗面器に水と手拭いを入れてベスが腰を折る
「2人は食事を買いに行ってます……貴方が目覚めたら『渇く』だろうから、と」
やや呆けているブラッドの顔を水に濡らした手拭いで丁寧にぬぐう
ブラッドは去れるがままに身を任せる
自分で思っているよりも汗をかいていたようで、冷たい手拭いが気持ち良かった


