「ブラッド!!」
ディンが肩を引いて向き直らせようとしたが、ブラッドは手を振り払う
「コレしか方法はない」
ディンは激しい炎を瞳に映しながらも、もがくフェイトとブラッドを見比べて唇を噛んだ
リーバは青ざめたまま口を引き結んでいた
ベステモーナもやはり見守るしかなかった
ブラッドはフェイトの頭を右手で掴んで引き寄せる
左手で肩を固定して、その首筋に牙を突き立てた
パラサイトが根付くその場所に
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「ブラッド……お前は自分の本質を理解していない。だからお前は欠陥品と言われるんだ」
父親の小言の内容はいつも決まっていた
何百年も生きているとは思えない程に若々しい外見の父だが、内から滲み出る威圧感は侮れない
「我々の冷たい本性を知れ、ブラッド」
その言葉を脳裏に浮かべながら、ブラッドは自分の本性をまざまざと思い知らされた
甘い血の味と、汚い欲望と共に
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「ブラッド!」
ディンがブラッドを無理やりフェイトから引き剥がす
それを振り切ろうとブラッドは暴れるが、直ぐにリーバも声を上げて押さえにかかった
「ブラッド!よくみなよ!パラサイトとはもうなくなった!もうフェイトは大丈夫だから!!」
荒い息を吐き出してブラッドは瞬く
フェイトの首筋にはもうパラサイトの影も形も無かった
ブラッドの牙の跡以外は
口の中に血の味意外にざらついた感触が動いた
しかし、それが動き出す前に奥歯で噛み砕く
ぶちりと音を立ててパラサイトは消えた
しかし、酔ったような高揚感が止まらない
「ブラッド君フェイトは大丈夫なようです」
安堵の声を漏らしたのはベスだった
すかさずフェイトの具合を調べて息を吐いた
熱は収まり苦痛も抜け落ちたように重く目蓋を閉じている


