「ブラッド!!」


ディンが肩を引いて向き直らせようとしたが、ブラッドは手を振り払う


「コレしか方法はない」


ディンは激しい炎を瞳に映しながらも、もがくフェイトとブラッドを見比べて唇を噛んだ


リーバは青ざめたまま口を引き結んでいた
ベステモーナもやはり見守るしかなかった


ブラッドはフェイトの頭を右手で掴んで引き寄せる
左手で肩を固定して、その首筋に牙を突き立てた


パラサイトが根付くその場所に



*******



「ブラッド……お前は自分の本質を理解していない。だからお前は欠陥品と言われるんだ」


父親の小言の内容はいつも決まっていた


何百年も生きているとは思えない程に若々しい外見の父だが、内から滲み出る威圧感は侮れない


「我々の冷たい本性を知れ、ブラッド」


その言葉を脳裏に浮かべながら、ブラッドは自分の本性をまざまざと思い知らされた


甘い血の味と、汚い欲望と共に



*******



「ブラッド!」


ディンがブラッドを無理やりフェイトから引き剥がす
それを振り切ろうとブラッドは暴れるが、直ぐにリーバも声を上げて押さえにかかった


「ブラッド!よくみなよ!パラサイトとはもうなくなった!もうフェイトは大丈夫だから!!」


荒い息を吐き出してブラッドは瞬く
フェイトの首筋にはもうパラサイトの影も形も無かった


ブラッドの牙の跡以外は


口の中に血の味意外にざらついた感触が動いた
しかし、それが動き出す前に奥歯で噛み砕く
ぶちりと音を立ててパラサイトは消えた


しかし、酔ったような高揚感が止まらない


「ブラッド君フェイトは大丈夫なようです」


安堵の声を漏らしたのはベスだった
すかさずフェイトの具合を調べて息を吐いた


熱は収まり苦痛も抜け落ちたように重く目蓋を閉じている