入れよ、と


2人を招き入れるように身体を傾けた瞬間、フェイトはの身体は傾いた


「フェイト!?」


誰の声か分からない
判別する前に意識が遠退いた



******



人の声だ


誰かは分からない


けれど、ひどく悲しげだった


そして



それは、憎悪にまみれていた



******



部屋でくつろいでいたブラッドは隣の部屋、フェイトの部屋が騒ついていることに気付いた


リーバがいる気配がしたから、ディンが押し掛けたのかと一度は無視した
しかし、さらに険しい声がして、廊下に顔を出した


開け放たれたフェイトの部屋から、ただ事ではない声が聞こえていやな予感が頭をよぎる


「どうした?」

「フェイトが倒れたんだよ」


リーバが珍しく戸惑った様子でドアから顔をだす
驚いてブラッドもフェイトの部屋に入った


玄関先でフェイトが青ざめて横たわっていた


「一応息はあるけど……ブラッド、ベッドに運ぶの手伝って」

「ああ」


2人でベッドまで運ぶと、フェイトは突然苦しみ出した


「フェイト!?」


ベステモーナも青ざめてフェイトに触れたが、あり得ないほどその肌は熱かった


「何があったの?」

「一応言っとくと、ボクは何もしてないよ」

「でも、この反応はヤバくないか?」


ブラッドは首筋を掻き毟るように苦しむフェイトの手首をつかむ
それは掻き毟り過ぎで血が出てはいけないと思ったからだったが、首筋を見てブラッドは驚愕する


「……何だ……これは!?」


それに気付いた3人も息を呑んだ
ベステモーナは困惑を深めただけだったが、ブラッド達はソレが何だかわかってしまった


「パラサイトだ……」


ディンが低く呟いた
ベスが問う


「パラサイト?何ですかそれは?」

「……デスイーターの中でも最弱の存在……けど」


リーバはその先を呑み込む
白い肌がことさら青ざめていた
忌々しげにディンが吐き捨てる


「身体に寄生して魔力と生気を奪い尽くすんだ」