「日差しで灰になんかならないよ」
可笑しそうに笑いながらリーバは否定した
呆れたようにベスも言った
「そんなに珍しい話じゃないでしょう?バンパイアは日の光で死ぬことはありませんよ」
話の始まりは素朴な疑問だった
今更という気はしたが、日傘をさしたリーバを見て思わず口をついたのだ
「バンパイアって太陽の光を浴びてもなんともないのか?」
と
場所を移して、ジェイミー、ベステモーナ、リーバ、フェイトは海に足をつけて雑談していた
ブラッドとディンは近くの林で昼寝と読書に勤しんでいる
ちなみに昼寝をするのがディンだ
「人間界じゃ定番の説なんだよ。てか、ジェイミーの魔法すごいな。水、冷たくないや」
「すごくなんてないよ……簡単な魔法だし」
ジェイミーは控えめに微笑む
簡単に呪文を吹き込んだ鱗をフェイト達に吹き付けると、水は冬の冷たさとは思えなかった
そういうと、リーバはにまりと笑ってフェイトの背中を押した
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柔らかな草の上で仰向けになったディンがふと、口を開いた
「まだ内緒なの?」
「……内緒になんかしてない」
「してるさ」
ちらりと、寝転んだまま顔を傾けディンは声を低くした
少し、不貞腐れた言い方だったかもしれない
ブラッドは本から視線を外した
「僕はまだ納得してない。闇の賢者に拉致られて、どうして無事に帰ってこれたんだ?何かあったはずだ」
ブラッドの顔に苦いものが走る
「……言わないんじゃない……なんて言っていいか分からないんだ」
その場逃れの言い訳ではなさそうなブラッドの言葉にディンは目を見開く
「俺はその場に居合わせただけで、本当の狙いはフェイトだった」
そこまでの話はある程度フェイトからも聞いていた
しかし、それ以上にブラッドの困惑は深い


