水に濡れた黒に近い紺碧の髪、黒い真珠のような丸い瞳がフェイトを見上げた
「ちょーっと、からかっただけなのに」
「ほどほどにね?」
やや弱気に呟かれた言葉にクスクス笑って、ヘレナは水の中に潜ってしまった
フェイトは呆然とした
「もしかして……ジェイミーか?」
「……そうよ」
どこか苦笑気味にジェイミーは微笑んだ
しばらくジェイミーだと分からなかったのは、メガネをかけていなかったこともあるが、本来の姿に驚いたからだ
「すげーな、はじめて見た」
「綺麗だね」
フェイトとディンがそろって感嘆の声をもらす
長い髪はほどいてあり、濡れた髪が白い肌に張りついている
下肢は腰の付け根あたりから白い鱗に包まれ、優美な尾がある
白い鱗は真珠のような光沢があった
「あれ?何してんのフェイト達」
笑いを含んだ声をかけられ、そちらを見れば可愛らしいパラソルをさした少女?がいた
「リーバ!?……何だよその格好」
「似合ってるでしょ?」
クルリと靴をはいていない素足で回って見せる
今日は制服でなく、私服のようだ
日傘をさしてヒラヒラとしたワンピース姿は確かによく似合っていた
「何故ここに?」
ベスが訝しげにいえば、リーバは小馬鹿にするような調子で言った
「何?ボクが友達と戯れちゃ可笑しい?それにジェイミーとボクはクラスも一緒だしね」
「そうだったのか!?」
「ジェイミー、今すぐこいつとは縁を切ることをおすすめするよ」
純粋に驚いたフェイトと違い、ディンはジェイミーに真剣にすすめた
戸惑うジェイミーをよそに、水辺に張り出した岩を器用に渡ってリーバは傍に来た
「相変わらず失礼だなー。フェイト、こんなブラコンと一緒にいるより、ボクの方が楽しいと思うよ。どう?」
ディンは不機嫌そうに目を細める
からかう調子で言われた言葉にフェイトは思わず吹き出した
「ブラコン……って」
「的を射てるでしょ?」
「女装をしてる男子には言われたくないと思いますけど?」
ベスがつれなく言っても気にした様子もなくリーバは微笑む
ジェイミーだけが戸惑っていた


