そして、フェイトはアパートの前まで来てベステモーナを見た
「俺そこだから、じゃあな」
手を上げて別れを告げようとしたその時
「えっ……?」
「何だよ?」
いつも凛とした表情で前を見据えるベステモーナはなぜか心底驚いた顔をしていた
プルプルと震える手でベステモーナは洋館を指差した
「フェイト君……貴方、このアパートに住んでるの?」
「そうだけど?」
立ち去ろうとしないベステモーナの表情を見て、嫌な推測が頭を過りフェイトは苦く笑った
「まさかなぁ……お前の住んでるとこって……」
フェイトも自身のアパートを指差す
機械のようにベステモーナはコクりと頷いた
「マジかよ!?」
それしか言葉は出なかった
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「何でお前までここに住んでるんだよ……」
「お前じゃありません」
「じゃあ、ベス」
「いきなりその呼び方は何なの?」
「ベステモーナって長いだろ、ベスで十分だ」
「訂正を求めます。フェイト君」
2人は言い合いながらアパートに入った
お堅い奴だと思いながら勝手に呼び名を決めた
態度も発言も高飛車でムカつくことには変りないが、ベスは悪い奴ではない
簡単な術式もまともに出来ないフェイトに諦めずに根気よく教えてくれている
………まぁ、押し付けがましくはあるが
良い奴ではある……
「ところで、お前までと言う事は他にも誰かいるの?」
「あぁ、ディンと双子の兄のブラッドだよ。一階にみんな居るけど」
「貴方もあの2人も勇気がありますね……」
フェイトはアパートに入るドアの部を引きながら首をかしげる
「勇気があるってどういうことだよ?」
「あら、知らなかった?このアパート、幽霊が出ることで有名なのよ」
「ハァ!?」
広いフロアに入り辺りを見回す
昨日見たときは綺麗だと思ったが、ベスの話しを聞いたせいで変に寒気がする