ジェイミーはひっそりとため息をつく


せっかくフェイト達が誘ってくれたのだ
出来たら一緒に街を回りたいが、先約があった


「あっ!ジェイミー、待った?」

「おはよう。大丈夫だよ」


幾人かの集団は、ジェイミーの知り合いの水属性の生徒だった
それに混じって、ジェイミーもコウガへ向かった



******



コウガの街はあちらの世界でいう中国風な街だった


「美味いなぁ」


フェイトは屋台で小龍包を幾つか買って頬張る
小腹を満たすには調度良い大きさで、味も抜群だ


「おぉ、わかるか坊主?コウガの店は使ってる水が違うからな!」

「確かにすごく美味しい!」


快活な店の主人と幾らか言葉を交わしてコウガの見所を聞いた


その間、他の3人は雑貨屋をのぞいていた
店先の物を眺めていたブラッドに声をかける


「ブラッドもいるか?」


小龍包の入った包みをかかげてみせる


「いや……俺はいい」

「そっか。何見てんだ?」


ダメもとで聞いた事なので、淡々と断られても気にしない
それよりもブラッドが手にしていた古い本に目が行く


「ただの古本だ。色々な種族について書いてある」

「へー……闇属性?」


開いてあったページに書いてあったことを声に出せば、ブラッドは直ぐに本を閉じてしまった


「なんだ?買わないのか」

「つまらない本だよ……」


無造作に本をもとに戻してブラッドは店の奥に消える