騒つく生徒達を遠巻きに見つめてフェイト首をかしげた


「何か変に騒ついてないか?」


メディアは無事に水の都『コウガ』へと降り立った
そのため、コウガへの外出が生徒達に許されている


それに気分が浮き立つのはフェイトも同じだが、掲示板の前に立つたくさんの生徒は少し様子が違っていた


ちなみに、掲示板と言っても紙が直接はられてはいない
何かの魔法で水のような膜の中に連絡事項が浮いているのだ


答えは直ぐに知らされた


「多分、特別演習のことだわ」


いつもより弾んだ声でジェイミーが言った


「特別演習?」


メガネの奥の瞳を輝かせている
隣にいたベステモーナも首をかしげた


「何かあるの?」

「6年生と5年生でコウガの結界を張りなおすらしいの……お手伝い程度らしいけど」


やや興奮気味だったジェイミーも語尾を弱めた
恥じ入るように頬を赤らめた


「ごっごめんなさい……とっても凄い事だからつい」

「気にすんなって。それより詳しく教えてくれよ」


ニカリとフェイトが笑えば、気を取り直してジェイミーが1つ咳払いをした


「みっ水の都、コウガは水属性の種族にとっては聖地なの。長年に渡ってこの辺りの海域と島を守護する一族がいるからこそ、その神聖さを失わずにいるの」

「へー」

「確か……七人の賢者の1人でもある龍一族のハクロン様が治める場所だったわね」


感心して聞いていたフェイトの隣でベステモーナが考えるように言った


「そうよ!ベステモーナ、もしかして行ったことあるの?」

「来たのは初めてです。話はよく聞くので。でもそんな場所の結界を張るのに、よく外部の者を入れられますね」


ベステモーナは訝しげに呟いた
考え込んでいたのはその事だったのだ