その眼差しにはブラッドとフェイトを害そうという色がない
それどころか、フェイトを見下ろす目には慈しみさえ見えた
だから、ブラッドも一応警戒を解いた
「フェイトは眠っているだけだよ。……君はフェイトの友達だね?」
「………そうですが、貴方は?」
注意深く、その男を観察しながらブラッドは問うた
男は静かにブラッドを見つめ返す
「私はゾフィー・クロウリー。フェイトの父親だ」
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男は険しく眉間にしわを寄せる
水晶で埋め尽くされた部屋の中、男は青緑の髪をかきあげた
「クラリス……面倒事を持ち込むな……」
重く吐かれた言葉に水晶の向こう側に映るクラリス・アレイスターはゆったりと微笑んだ
「面倒事ばかりではないでしょう?私はちゃんと、貴方の面倒事も引き受けるつもりよ」
男は複雑な思いに眉を寄せてため息をついた
そして、鋭い琥珀の瞳をクラリスに向けた
「……わかった。こちらでも出来るだけ対処しよう。その代わり!キッチリ働いてもらうからな!」
確かに約束を取り付けて、男は一方的にクラリスとの話を切った
すると、すぐに水晶に映るクラリスは消えてしまった
クラリスは終始、人の食えない笑みで相対していた
『身分』は同じはずだが、彼が彼女を苦手とするのはそういったところだった
「まったく……クラリスの奴も面倒な生徒を引き受けたものだ………」
ザッと、ベランダに続くカーテンを開け放つと白い日差しが部屋に万遍無く差し込む
部屋の水晶がそれを弾いて煌めいた
見渡すのは壮麗なる水の都
果てしなく続く青い海
その向こうの空高くに見えるのは、何度見ても呆けてしまいそうなほど壮大な天空の都
男はもう一度、深くため息をついた