ゾフィーとフェイトは光の中に呑み込まれていく
フェイトを抱きすくめた腕とは反対の手をゾフィーはひょいっと振った
すると、白い箱がゾフィーのもとに飛んでくる
それさえ呑み込んで、2人の姿は掻き消える
アウロラはきつく唇を噛み締め、地を這うような声音で吐き捨てた
「ゾフィー……!!……私は認めませんわ……貴方がシエルの後継者だなんて!!」
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サワサワと涼しげな水が流れる空間
東の島国特有の木々が立ち並ぶ静かなその場所に、不意に激震が叩きつけられる
何もなかった空間が突然ひび割れ、ズルリと2人の人影と白い箱が吐き出される
それを見ていた人物が腰かかけた岩から目を細めた
「汝 夢の端を渡るもの 光か闇か 分かたれた道を紡ぐもの ………」
ゾフィー・クロウリーはその場所につくと素早く髪留めにスペルを吹き込む
特殊な守りの魔法を施して、腕に抱えたフェイトの髪に着けた
すると、吹き荒れていたフェイト魔力がピタリと止んだ
「どんだけ魔力押さえこんどったんや?」
かけられた声にゾフィーは振り向く
そこには人の悪い笑みを浮かべた安部の黎明が立っていた
しかし、いつもとは違い黎明の笑みに苦い色が潜んでいた
「アウロラはん、怒り狂ってましたやろ?」
「わかるか?」
「そら当たり前でっせ……それで、これなんですの?」
そばに落ちていた白い箱を拾い上げて、黎明は首を傾げた
「それはアウロラのコレクションの一つだろう。中に1人、メディアの生徒が入っているはずだ」
「はぁー、便利な箱でんな」
ゾフィーは気を失っているフェイトの頭を撫でる
愛おしさと憂いをない交ぜにしたような複雑な表情で