「仕方ないから私が教えてあげてるの」
(頼んでないけどな……)
フェイトは心の中で呟いた
「サバティエ君も頑張って下さい!武術科の人は少ないですが、大切なAクラスの戦力なのですから」
「はは、期待に応えられるか分からないけど頑張るよ」
ベステモーナは拳を握って期待を込めた瞳でディンを見ている
かたや、しごかれる自分
はっきり言って面白はくない
「……休憩時間もう終わるんじゃない?」
「あはは、ゴメンゴメン。2人の邪魔しちゃ悪いよね」
「アホか!」
ディンは飄々と手を振って去って行った
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ディンはふと疑問に思った
魔法術式科と同じく外での演習中だったので気配を完全に消していたはずなのだが……
(ちょっと笑っただけで何でわかったんだろ?)
ディンは首をかしげたが、直ぐに忘れる事にした
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放課後………
「あー……もうやだ」
「私の方が疲れたわ。ダメな教え子を持つと大変ね」
「ダメでスミマセンね」
ささやかな反抗をしてフェイトは家路につく
ベステモーナも同じ方向に向かっていた
こっちの方面はアパートが密集しているので何となく一緒に帰っていた
「そう言えば、何でお前クラス対抗戦にこだわるんだ?」
「勝負には勝って当たり前でしょ」
当然!というようにベステモーナは胸を張る
「それに魔法を実戦的に使えるからね。最終的にはデスイーターと戦えるまでになるための通か点よ。そこでも完璧な成績を残したいの」
フェイトは苦笑する……
それにしたって凄い気合いだ
ベステモーナは何処までも高慢なほどに真っ直ぐだ
『お前出来損ないなんだって?』
ふと、胸に影が差した
事実だったから何も言えない
フェイトは自分の能力を最大限生かそうとするベステモーナが少しだけ羨ましかった


