「あたたた……へ?」
柔らかな感触に包まれてフェイトは身体を起こした
毛布の感触だった
そして、目の前には夢の中の少女
「シエル」
少女はニコリと微笑んだ
少女の周りには綺麗なガラス細工の人形や陶器の置物
可愛らしいぬいぐるみが置いてあった
そして、真っ白な箱
少女はそれに大切そうに赤いリボンを結んだ
真四角の箱は両手にもてる程
「……アウロラ?」
闇を身にまとったかのような少女はそれを否定しなかった
「ブラッドは……」
「もう1人の子はこの中ですわ」
アウロラは白い箱を差した
あの中にフェイトは入っていたらしい
ならば、先程の手はアウロラのものだったのか
担任のプティ先生にビンに入れられ、出てきた時と感覚が似ていた
「その格好……夢で見た」
フェイトが言えばあどけなくアウロラは笑った
「貴方と初めてあった時はこのくらいの年齢でしたわよね。だから気に入ってて、大半はこの姿ですごしていますのよ?」
不意に、小さな少女の姿のままアウロラはフェイトに抱きついた
温かな感触、仮の姿とは思えないほど鮮明な少女にフェイトは戸惑った
「だから……俺はシエルなんて名前じゃない。フェイトだ」
「イヤ……そんなの聞きたくないわ……」
拗ねたような物言いにため息をつく
同じ賢者でもメディアの校長とは随分違うようだ
「シエルって……どんな奴?」
試しに聞いてみた
あまりにもフェイトには身に憶えのない人物
それを知って何か行動を起こさねば帰れない気がしたのだ
「……シエルは優しいわ。とても……とてもね」
しかし、あまり有益な情報は出てこなさそうだ
そう思っていると、何かを確認するような調子でアウロラは呟く


