ぼんやりと、フェイトは目を覚ました
夢は見なかった
なんだか不思議な気分だ
夢の内容は忘れてしまっていたのに、今ならおぼろげに思い出せる
薄明るいその白い天井を見上げてから寝転んだまま横を向く
オモチャのような作りのチェアーに座ったまま器用にブラッドは眠っていた
(俺……どれくらい寝てたんだ?時計ないと不便だな)
白い部屋の中には時計がなかった
寝ている間に拉致られたフェイト自身も持っているはずかなく、ここに着いて何時間たったのか見当がつかない
すると、突然部屋がガタリと揺れた
フェイトは飛び起きる
ブラッドも同じく飛び起き周りを見渡した
地震にしては揺れ方がおかしい
すると次の瞬間、天井が浮き上がった
「なっなんだ!?……天井が……剥がれた?」
フェイトの言葉は正しい
天井は壁を残して綺麗に取り払われる
それも人の手によって
ブラッドは驚愕した
天井だったモノを掴むのは人の手だ
それもブラッド達の何倍もの大きさのある
そして、またもや突然にコンッとフェイト達のいる部屋に振動が響く
次の瞬間、フェイトはバネのように飛ばされた
「うわあああぁ!?」
「フェイト!?」
何かの上に落ちたような音が聞こえて、ブラッドが残された部屋の天井は、また謎の手によって閉ざされた
「おい!フェイト!?」
ブラッドは壁を叩いたが、外の様子はわからない
「おい!聞こえるなら返事をしろ!!」
しかし、外の音もブラッドの言葉も届く事はなかった


