フェイトの言葉に今度はブラッドがキョトンとした
少し間抜けな顔をしたかもしれない
「あいつ、いつも飄々としてるだろ?ヘラヘラしてるようで、でもあれは、強い執着を隠すためだろうな。ブラッドへの」
真っ直ぐな瞳がブラッドを見ている
「お前、気付いてなかったのか?」
アイツも報われないなぁ、とフェイトは冗談混じりに笑ったが、ブラッドは低く呟いた
「………違うな」
違う……
違うはずだ、そんなわけがない……
あるとすれば、それは……
「お前だよ……フェイト」
惹き付けられる甘い匂い
何かがおかしくなっていく感覚
俺たちは、酔っているのだ
初めての『人間』に
そして、ブラッドとディンにとって初めての………
「ブラッドも、血の匂い気になるのか?」
フェイトの言葉に沈み込みそうになった思考が引き上げられる
その質問事態にドキリとした
「……何?」
「ディンがさ、今日見せてくれたぞ」
フェイトが指で首筋を差した
それは、ディンについたリーバの噛み跡の事だとブラッドはすぐに察した
「言われてさ、そういえばリーバが前に言ってたの思い出したんだ。人間の血の方が美味しいって。俺を避けてたのってそれが原因だろ?」
ブラッドは固まる
避けようと思っていたわけではないが、デスイーターの事件以来、一方的に気まずいと思っていたのは事実だ
ズバリ指摘され、なんと答えて良いかわからず沈黙していると、フェイトが苦笑した
「おまえら本当に似てるな」
おかしそうにフェイトは笑った
「そうゆうとこ、面白くて好きだぜ」
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フカフカのぬいぐるみを枕にフェイトは熟睡している
この状況でよく寝られるモノだとブラッドは少し呆れて見ていた
闇の賢者に拉致、監禁されている
なのに、なんの臆面もなく眠れるのだからフェイトは意外に大物なのかもしれない
いや、実際そうなのだろうと、ブラッドは思った


