魔法学園‐メディア‐




「何なんだよ……」


フェイトが呟いたのも無理はない
目まぐるしく変わる世界について行けないのだ


フェイトとブラッドが飛ばされたのは奇妙な小部屋だった


真四角の白い壁
窓も扉もない

置いてある家具はミニチュアのオモチャのような可愛らしい作りで、やたら大きなぬいぐるみがたくさん散らばっていた


「あの人……闇の賢者って言ってたな」


考える事を一時中断して、先程の事を整理しようとブラッドに向き直る


「………間違いないと思う。初めて見たが、魔法騎士の2人が従っているなら本物だろうな」


疲れたようにため息をついてブラッドは取り敢えず、チェアーに腰掛けた
フェイトももう一つのチェアーにもたれて肩を落とす


「シエルって誰だろうな。俺、その人と間違えられてるんだ」

「……知り合いにシエルという人は?」


ブラッドの質問には否と答えて、フェイトもため息をついた


「あの人……アウロラって人さ、ブラッドのこと見向きもしてなかった。てっことはさ……ブラッドはトバッチリだよな……なんか……巻き込んでばかりでごめん」


すまなそうに呟かれた言葉にブラッドは首を横に振る


「気にしなくていい……ディンで慣れてる」

「あはは、確かに大変そうだ……でも、ディンの奴、今回のことはマジで怒るだろうな」


ブラッドが首をかしげる
苦笑してフェイトは言った


「今頃、必死でお前のこと探してると思う」


そういえば、今何時なんだ?と、フェイトは小部屋に時計がないか首を巡らせる


それを不思議な気分でブラッドは見た


「……なんであいつが怒ると思うんだ?」


フェイトはキョトンとして、次に盛大に呆れて見せる


「何言ってんだよ?ディンの兄弟愛はヤバイぞ」