シャラリ、と煌びやかな音色が響く
細い装飾の髪飾りが揺れる音


けぶる睫毛に覆われた漆黒の瞳がゆっくりと開かれる



「……やっと」


やっと、と細いため息が紅い口唇からもれた
真っ白なシーツを敷き詰めた贅沢な寝室、黒い紗のカーテンをくぐってその女性は部屋の中心にある魔方陣の上に立つ


道は開かれた


魔方陣が細かな燐光を放つ
それは合図だ
彼女の忠実な下部が、彼女の望みのものを手に入れたということ


一際強く魔方陣が光ったその時、4人の人影が現れた


その女性は静かに微笑む



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クラリス・アレイスターは目を閉じて水晶玉に手を翳していた

傍に控えたアンジェリーナはずっと落ち着かない心地でたたずんでいる

不意にクラリスは目を開けて微笑んだ


「少し早い気もしますが、ゾフィーに連絡を取りましょう」

「しかし……」

「動き始めたのですよ、アンジー。もう止めることはできません……貴女の望む日も近いでしょう」


アンジェリーナはきつく唇を引き結んだ
『首刈りの騎士』などと、侮蔑のこもった2つ名
その理由を知るものは彼女を騎士とは思っていない


例えばアルドワーズやソルト
魔法騎士の間では暗黙の了解


その『事件』に関わる鍵となる少年
『その日』を望むアンジェリーナは、長年の焦燥が沈殿した頭をなんとか鎮める


「……はい」



苦い思いの返事を返してアンジェリーナはうつむいた