始めに黎明が行なった呪い(まじない)から目覚めたフェイトは、魔力の流れというのを肌で感じられるようになった
なぜたが分からない
言葉では説明できない感覚が身体に巡る
ソレが魔力であり、精霊と取引するための切り札だと黎明は言った
「精霊はズル賢いで。上手く対話せぇへんと無駄な魔力持ってかれるんや」
けど、と黎明は人の悪い笑みを浮かべた
「キミは細かい事は考えんでええわ」
囁く調子で黎明はフェイトに言った
「精霊ゆうんは気まぐれ、あんさんは……好かれとる」
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演習場の地面に浮かび上がった魔方陣
しかし、その大きさに困惑した声が上がる
「嘘だろ!?」
「あの大きさ!」
魔方陣の大きさは魔法の効果範囲に比例している
次の瞬間、フェイトの魔法が発動した
咄嗟に危険を感じて飛び上がったヴォルフ
しかし、間に合わなかった
突風
本来なら軽く吹き抜けるだけの魔法だというのに、それはヴォルフを巻き上げ、さらには緩やかに下降していたフェイトを巻き込んで天空へと吹き上がった
「「ウアアアアアァ!!」」
風の唸るような音に鼓膜を叩かれ、皆が空を見上げて口を開ける
「嘘でしょう……」
力のない声は誰が言ったのだろう
ソレさえも吸い込んで、空は果てしなく青かった


