魔法学園‐メディア‐




ブラッドに真っ直ぐ向けられた矢じり
しかし、それに怯む事無くブラッドは剣を振り下ろす


白い斬撃がベスに向かって放たれる
弧を描いた斬撃に臆することなくベスは光の矢を放った


重なった閃光が爆発する


弾けた閃光に全員が目を覆う
まばゆい光が収まり見下ろした演習場には驚きの光景があった


「……どういうことだ?」

「私は2発同時に矢を射れるの」


顔をしかめたブラッドにベスは淡々と言った


ブラッドは動く事ができない
地面から生えた木の根で拘束されているからだ


一つ息をついてブラッドは淡々と「まいった」と呟いた

一瞬にも思えた激しい魔法の攻防戦に皆拍手を送った


しかし、それを見ていたのはAクラスの生徒だけではなかった


演習場の一番高い柱の上に止まり、黒々とした瞳で一羽のカラスが演習場を見下ろしていた



*******



「スゴいな……」


呟いたフェイトは何かを追うように瞬いた
横からフェイト顔を覗き込んだディンは眉を寄せる


(あれ……?……フェイトの目が)


色素の薄いフェイトの目
珍しい金色だと思っていたが、今はどことなくその色が濃くなった気がした

ディンが口を開こうとした時、ウィリス先生の声が遮る


「次の対戦は、ヴォルフ・シュタイン対フェイト・クロウリー!」


離れた場所に座っていたヴォルフは、立ち上がると演習場の中心部まで軽々と跳躍した


「フェイト・クロウリー!勝負だ!降りてきやがれ!」


ニッと挑戦的に笑って言ったヴォルフにフェイトは笑い返す


「1週間前の俺だと思うなよ?」