ブラッドに真っ直ぐ向けられた矢じり
しかし、それに怯む事無くブラッドは剣を振り下ろす
白い斬撃がベスに向かって放たれる
弧を描いた斬撃に臆することなくベスは光の矢を放った
重なった閃光が爆発する
弾けた閃光に全員が目を覆う
まばゆい光が収まり見下ろした演習場には驚きの光景があった
「……どういうことだ?」
「私は2発同時に矢を射れるの」
顔をしかめたブラッドにベスは淡々と言った
ブラッドは動く事ができない
地面から生えた木の根で拘束されているからだ
一つ息をついてブラッドは淡々と「まいった」と呟いた
一瞬にも思えた激しい魔法の攻防戦に皆拍手を送った
しかし、それを見ていたのはAクラスの生徒だけではなかった
演習場の一番高い柱の上に止まり、黒々とした瞳で一羽のカラスが演習場を見下ろしていた
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「スゴいな……」
呟いたフェイトは何かを追うように瞬いた
横からフェイト顔を覗き込んだディンは眉を寄せる
(あれ……?……フェイトの目が)
色素の薄いフェイトの目
珍しい金色だと思っていたが、今はどことなくその色が濃くなった気がした
ディンが口を開こうとした時、ウィリス先生の声が遮る
「次の対戦は、ヴォルフ・シュタイン対フェイト・クロウリー!」
離れた場所に座っていたヴォルフは、立ち上がると演習場の中心部まで軽々と跳躍した
「フェイト・クロウリー!勝負だ!降りてきやがれ!」
ニッと挑戦的に笑って言ったヴォルフにフェイトは笑い返す
「1週間前の俺だと思うなよ?」


