フラフラと歩いていたベスは声をかけられ立ち止まる
声の主を探して首を巡らせるが、周りは閑散とした並木道
知らない間に変なところまで来てしまったと思っていると、再度声をかけられる
「こっちこっち、木の上だよ」
顔を上げてみれば、ベスは目を丸くする
「リーバ!……どうしたんです、その格好?」
「アハハハ……ちょっとね。それより降ろしてもらえないかな?」
苦笑いで逆さをむいている
いや、木から逆さに吊されている
絡まった蔦を引っ張り、もがくリーバに呆れた視線を投げてから、ベスは木に手を添える
「緑と空と 木の葉と風と」
ベスが呟くと、蔦がグニャリと動いてリーバを解放した
クルリと体勢を整えて、リーバは器用に着地した
「魔方陣は使わないんだね」
「木と風の精霊とは相性が良いので。それより、なぜあんな場所にぶら下がっていたんです?何かの遊びですか」
「そんなわけないじゃん!……今日の集会で特別講師が来たでしょ」
「あの……変ななまりの?」
「そう!あの人、ボクに魔法を教えてくれたお師匠なんだ」
ベスは目を見開く
リーバはかなり特殊な魔法を使うと思っていたが、日本で教わったものということだろうか?
「久しぶりに会ったから挨拶しに行ったんだけど、イタズラがばれて飛ばされちゃった……いや、フェイトから引き離したかったのかな……」
最後は考えるように言ったリーバにベスはカッと目を見開く


