魔法学園‐メディア‐




普通の女性だった


特別美人でも、とびきり可愛いわけでもなかった
不細工なわけでもなかったが、どこにでも居そうな普通の女性だった


けれど、その女性は他を隔絶する力を持っていた

圧倒的な魔法のセンス
彼女にできないことはないと、若い頃の自分はそう思っていた


『そんなことないのに』


彼女が笑うと華やぐように周りは和んだ


『黎明は変なことをいうね。私にだって叶わないことくらいあるよ』


それは何かと問えば、深い蒼天の瞳は真っすぐに黎明を見た


『ナイショ』


暖かい人
けれど、どこか子供のようにあどけない人


『ズルいやないか、シエル』


ふわりと、彼女は笑った



*******



黎明は生徒を集めさせ、適性を測る術(魔法)を使った
配った木の葉が消えれば適性はない
木の葉が燃えたら……適性があるということだ


かつて日本で教えたリーバという少年は適性があった
しかし、内在魔力はあまりなかった


ゆえに物を別の場所に移動させるだけのことしか出来なかった


黎明は木の葉を燃やした少年を見て、内心驚いていた


(……シエルにそっくりな目をしとる……)


呪い(まじない)の効果でフェイトを隅々まで調べて分かった
誰かに封じられた魔力


この少年を守る為の封印であることがわかる
しかし、それはもう瓦解寸前の砂城でしかない


壊れかけた封印に触れないように、漏れだしたフェイトの魔力を引っ張りだす


「フェイトはん……あんさん、難儀な運命背負っとりますなぁ……」


呟きに応えはない