「あんなぁ……時空間魔法にはそれなりの適性と才能がいるんやで?あと、絶大な内在魔力な。それがないと実戦では使いものにならへん」
数少ない適性があり、時空間魔法を使えたとしても、大量の魔力を消費する
それを補える存在は一握りだ
言って、でも、とからかうようにクラリスに笑みを向ける
「わて程の天才陰陽師か、空の賢者あたりやろな、ちゃんと使いこなせるんわ。フェイト・クロウリーて誰やねんな?適性もない奴なら教えるだけ無駄やで」
クスリと、クラリスは笑ってみせる
その瞳の色は深い
「適性も才能も十分だと思いますよ?」
どこか確信めいた言葉
その意味に、まさかと黎明は顔色を変える
「……ほんまに……あの子の関係者がおるんか!」
アノコ……息を荒げるように黎明は言った
「シエルの関係者が生き残っとたんか!?」
クラリスはカチャリとカップをソーサーに戻して言った
「はい……彼女に深い繋がりのある少年です」
クタリと力をなくしてソファーに腰を下ろした黎明は袂で顔を覆った
「……信じられへん」
「ですが……事実なのです、黎明……」
「……」
「闇の賢者が彼を狙っています」
ハッと顔を上げて黎明は息を吐き出す
「それまずいやないか」
「だから、貴方に頼んでいるのですよ」
渋い表情で少し考えて、黎明は言った
「分かった、その話引き受けたる。けど、試させてもらいますよ」


