ドキリと視線を上げたフェイトの顔をまじまじと見つめて黎明は見透かしたような笑みを刻んだ
「ちゃんと調べてあんねや。君のこと」
近くで見ればさらに繊細な作りの白い顔は底知れない笑顔でフェイトを見据える
特に怒っているわけでもなく、どこか楽しそうに漆黒の目を細めた
「現在、メディアで唯一の人間。せやけど、学年最下位にして最弱の異名をとるトラブルメーカーやて聞いてるで!」
笑い含みにいわれた言葉にさすがに目をむく
「違います俺は巻き込まれてるだけで……!」
「お師匠!」
いきなり割り込んだ声に、フェイトはガクリと肩を落とす
この声は……!
「リーバ!」
「はぁい、フェイト。それより黎明師匠、お久しぶりです」
えっ?と状況が呑み込めないフェイトはキョトンとした
しかし、黎明はリーバを見てニカリと笑う
「おぉ、リーバやないか!元気にしとったか」
「はい、おかげさまで。日本ではお世話になりました」
「そうか、そういや魔法学園に通うゆうてたな。メディアのことやったんか」
はい、と元気よく答えたリーバ
よく分からないフェイトに黎明は説明してくれた
「すまんすまん、リーバは前に日本におったんや。その時少し魔法を教えたってな」
日本、と呟いたフェイトにリーバは笑って見せた
「2回くらい見たでしょ?ボクが魔法を使うとこ」
「……あぁ!時空間魔法……とかいうやつか」
ヴォルフと一緒にひどい目にあったことを思い出してリーバを軽くにらんでやるが、気にした様子はない
「あれは黎明様に教えてもらったの。ボクの力じゃ何かを移動させるだけで精一杯だけどね」