ディンは先程と同じく楽しげに目を細めてフェイトをみた
「ねぇ、フェイトは人間なんだよね?」
「そうだけど」
「そんな顔しないでよ、僕らも君と似たようなものだから」
ディンはよくしゃべるが、ディンの隣に座ったブラッドはただ無表情に紅茶を見つめていた
「どういう意味だよ?」
様々な種族のいる学園だが、人間はフェイトただ一人のはずだ
「僕らの種族はバンパイア、人間の亜種だよ」
「はぁ!バンパイア!?」
思わず叫んだらディンは笑った
「そんなに驚かなくてもいいのに」
「いや……だってバンパイアって…………じゃあ、血吸うのか?そんなの映画じゃあるまいし」
「フェイト、間違ってる。そんなこと言うなら、妖精やエルフ、人狼はどうなるのさ?バンパイアがいたって不思議じゃないだろ」
フェイトは脱力感でソファーに身を沈める
今日1日で色々なことに衝撃を受けたが、コレはかなり来た
「バンパイアって言っても祖先達は元々人間だったんだよ?だからさ、僕らいい友達になれるとおもうんだけどな」
(まただ……)
フェイトは楽しげに目を細めて笑うディンを見て、内心首を傾げる
時計塔で会ったときもそうだったが、ディンの赤い瞳を見ていると変な気分になる
いやいや!
別に、いくら美形だからって俺にそっちの趣味はない
だから、そういう意味ではない
けれど、おかしい……
すると突然、一言もしゃべろうとしなかったブラッドが声を上げた
「……ディン」
「ぶっ……何すんのさブラッド」
テーブルを挟んでフェイトの向かいに座る2人
ディンの隣にいたブラッドは片手でディンの顔を突っ張っている
その不可解な行動に目を点にしているとブラッドはフェイトに向き直る
「邪魔をしてしまった。すまないが今日はこれで失礼する」
ブラッドは簡潔に礼を言って、文句を言うディンを連れて自分の部屋へ帰って行った
「なんだったんだ?」
そこでフェイトは気付いた
2人は紅茶を一口も飲んでいなかったことに
(紅茶は苦手だったのかな?)


