込み上げる不安の正体も分からぬまま、ニコリと黎明は笑った
「古い知り合いのクラリスはんからの頼みでなぁ、今ここにおる中から一名!特別にわてが指導することになりましてん。まぁ1週間といえど、このわてが教えるんやからマイナスになることなんかありえおまへんけどな」
黎明はそういってパチンと指を鳴らした
すると集まっていた鬼火が何かの生き物のように蠢いて、木の葉を吐き出した
「皆さん、1人一枚拾ってや。抽選開始どっせ」
切れ長の瞳を笑みで細めて舞散る木の葉を眺めている
フェイトは偶々手元に落ちた木の葉を握った
他の生徒もそれぞれに木の葉を拾ってゆく
それを確認して、黎明はもう一度指をならした
ポンッと音をならして一斉に木の葉は消えた
しかし、フェイトは違った
「うぁっち!!?」
「はい!そこのぼん!」
いきなり手の中で燃えた木の葉を払い落とせば、黎明は揚々とフェイトを指差す
「君は選ばれたんや!幸運なお坊ちゃん、今日から1週間、よろしゅうたのんます」
抽選?で選ばれたフェイトは呆然と黎明の言葉を聞いたが、一拍おいて拍手が講堂に鳴り響いた
「………嘘だろ」
それを聞きながら、嫌な予感しかしないフェイトだった


