ブラッドはいまだにクラスの人たちとも滅多に口をきかないが、ディンはよくフェイトにじゃれていた
それがあからさまに、この間の一件以来フェイトに対してよそよそしい
ブラッドはアパート内でフェイトに会えばぎこちなく挨拶をして、視線を彷徨わせる
ディンは普段と変わらないように見えるが、どこか一線を引いているように見える
それに、制服のシャツをやけにキッチリと上までボタンを留めて、ネクタイをキチンと絞めている
いつもは着くずしているのにおかしい……
そんなわけでフェイトが少しだけ不貞腐れているため、ベステモーナは内心困っていた
自分だって、この間の一件で不覚にもフェイトの前で泣いてしまったのだ
フェイトは次の日も気にした様子もなく接している
ベスは平静を装ってはいるが、本当はどんな顔でいればよいが分からなかったからだ
落ち着くまで少しだけ距離を取りたいと思っていたのに、ディンたちのせいでそうもいかなくなったベスは心の中で八つ当りする
なんとかここまでやって来れたのはクラス対抗戦があったからだ
先日、全ての日程を終えてAクラスは見事に勝利した
が、しかし
こうも複雑に人間関係が絡み合っていては素直に喜べなかった


