「あっ」
隣の部屋から出て来たのは先程の美少年だった
「何だよ、お前もこのアパートだったの?」
無言
美少年は先程とは異なり、無表情で硬質な雰囲気を漂わせている
整った顔が冷たい人形のように感じた
(じっと見てくる……気まずい、なんとか言えよ!)
さっきとはまるで別人のような態度に戸惑っていると、中央フロアから誰かがこちらに向かって来た
「なぁブラッド、ご飯売ってるとこやっぱ少ないわ。結構歩いたのにさぁ」
「……ディン」
「あっ、フェイト・クロウリーだ」
フェイトは買い物袋をあさりながらこちらに来た少年を見て固まる
「なっなっ……!!」
「君もこのアパートだったんだ、奇遇だね」
あはは、と笑った少年と無表情な少年
2人は表情こそ全く違ったが、その顔は瓜二つだった
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「僕はディン・サバティエ。こっちは双子の兄、ブラッド・サバティエだよ」
「はぁ……」
立ち話もなんだからと、廊下の荷物を部屋に入れるのを2人は手伝ってくれた
今2人はフェイト部屋のソファーに腰掛けている
ベッドや机、ソファーなどは備え付けだ
10畳程の広さに簡易キッチン、バストイレつきのいい物件だ
なのに人気がないのはあのオーナーのせいではないだろうか?
2人は108と107号室、つまり同じアパートの隣人ということだ
荷物を運ぶのを手伝ってくれた2人にフェイトは荷物をひっくり返して、直ぐに紅茶を取り出した
「フェイト・クロウリーだよろしく」
ディンと兄のブラッドもフェイトと同じクラスだそうだ
「それにしても、本当にそっくりだな」
「よく言われるー」
ディンが陽気に答える
2人は確かにそっくりだがディンは髪が短い
くせはないが無造作に毛先の跳ねた銀髪にたいして、ブラッドは長くのばした銀髪を後ろ頭で一つにくくっている


