ふんっと、リーバもディンを見上げて嗤い返す
「なら礼は言わないよ、ブラコン」
「……黙れ」
乱暴にリーバはディンの頭を引き寄せて、その白い首筋に牙を突き立てた
プツリとあふれ出た甘い血を吸っていく
バンパイア同士の吸血行為は怪我をした時にしかしないし、成人してしまえばすることはほとんどない
自分達より人間の血の方が回復は早いからだ
ディンは血を啜られる音を聞きながら、リーバに残ったフェイトの血の残り香を嗅いで眉をひそめた
(フェイト……ホントに君は危険だよ)
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扉ごしでも、血の匂いは伝わってくる
リーバの部屋の玄関で見張りをしていたブラッドは眉間にしわをよせた
見張りは必要ないが、ディンが見せたくないと言ったから離れている
対して意味がないように思われることも、ディンはたまにひどく気にする
(……ソレよりも……あれはまるで麻薬だな)
ブラッドの予想通り、リーバはフェイトの血に酔っていた
そして、それは自分もなのだ
直に嗅いだ香を忘れられなくて、乱暴に鼻をつねった
(………困ったな)
明日からどんな顔でフェイトに会えば良いのだろうか?


