フェイトの……人間の血は甘すぎて自分では洗い流せなかった
手当ての時リーバはある意味、錯乱状態だったのかもしれない
まだ、血の香を楽しんでいたかった
「……でも君まで来るなんて……ブラッドは『あぁ』だから来るかもって思ったけど」
「ブラッドにかまって貰おうなんて百年早いよ」
冷たい声音に、血を洗い落としたリーバは肩をつかまれ、ディンと向かい合うように振り向かされた
紅い紅い、血の色に似た瞳はリーバを射ぬいている
しかし、怖じけることなくリーバも冷たい視線を送った
「そうだよ。ブラッドは『あぁ』だから、ほっといたらここに1人で来て、今からすることをしただろうね………」
リーバは隠していたが、左腕の傷は深い
ディンはリーバを見下ろしたまま制服のネクタイを解いた
カッターシャツのボタンもはずし、鎖骨が見えるほど首筋を顕にする
黙ったままのリーバに嘲るようにディンは笑った
「気にする事ない。バンパイア同士なら掟やぶりにはならないし、君をほっとくとブラッドが気にするからね」


