ディンはリーバを見てホッとしたようなブラッドに人が来ないように見張りを頼んだ
ブラッドがホッとしたのはリーバの怪我が心配だったのではない
ディンもそれだけは心配していた
「禁忌は犯さなかったみたいだね」
「……まぁね」
リーバは力なくうなずく
ブラッドが声の届かない場所に移動した(ブラッドもわかっている)のを確認してディンは口を開いた
「まぁ、突然の事とはいえ間抜けだね」
「……その間抜けを犯すリスクをすぐ傍に置いてるあんた達よりマシよ」
へらず口をたたくリーバを雑な扱いで立たせる
175センチはあるディンには、いくら男といえどリーバは小さいため簡単に引き上げられた
「っ……もっと優しくしてよ」
「うるさい」
蛇口から水を流して、怪我をした左腕を流水につける
赤い血が水と一緒に流されていく
それはリーバ自身の血と、フェイトのものだった
リーバを心配して怪我をした左腕を掴んだフェイトの手は、最初に切り裂かれた方の手だった
ベステモーナが応急処置でハンカチを巻いていたがしょせんは応急処置
溢れた血はハンカチを真っ赤に染めていた


