楽しげに細められた赤い瞳を見ていると何だか変な気分になりそうだ
嫌な気配がしたので直ぐに目を逸らす


「物好きな奴だな……好きにすれば?」


素っ気なく言って少年の隣を通り抜ける
キョトンとした顔で少年はフェイトを見送った


(だいたい、名前くらい名乗れっての)



時計塔からフェイトは出ていき、1人取り残された少年は頭を掻いた


「あれぇ?おかしいな、マインドコントロールしたのに。…………アイツ、何者だ?」



*******



本当に今日は色々あった
そして、疲れた……


フェイトは学区外、学生専用のアパートが密集する地帯にいる
その中でも安い賃貸の部屋を借りている


外観は古い洋館風であり、オシャレな作りだと思うが何故か人気はあまりないらしい


「荷物は先に送られてるし」


部屋の番号は……109号室



「すみませーん」


請った作りの扉を開いて、人気のない空間に声をかける
その洋館は二階建で、中央フロアは吹き抜けの広い空間だった
高い天井には豪華なシャンデリア、左右に広がる二階へ行くための階段


「はぁ……スゲー」


そう呟いた所で、どこからともなく白い紙切れがフェイトの元に落ちてきた


『私はオーナーのマックス。用があるときは今居るフロアで用を言え。お前の部屋は右に行けばある』


「なんだこれ?……ものぐさだな」


フェイトがボソリと呟けばまた紙が降ってきた


『黙ってろ小僧。水を止められたいか?』


横暴だ
そして、多分魔法なのだろう
何処からかこのフロアを見ているに違いない


ため息だけついてフェイトは部屋へ向かった


部屋は突き当たりにあり、109号室とかかれた部屋の前に立つ
廊下には先に送られていた引っ越しの荷物がつまれている


事前に渡されていた鍵を取り出しドアを開けようとした時、隣の部屋のドアが開いた