不吉なサイレンはいまだに鳴り響いているが、とりあえず嫌な悪寒はなくなった
「今のがデスイーター?……アレは何なんだ」
じっと自分の切り裂かれた手とリーバの怪我をした手を見つめる
ベスが巻いてくれた白いハンカチは赤黒く濡れていた
「フェイトは初めて見たんだっけ?」
ディンはさすがにいつもの陽気な調子ではなくやや真剣な面持ちで言った
ブラッドも低く呟く
「闇属性の彷徨える魂……心が生んだ怪物だ」
ソレはどういう意味かとフェイトが問おうとすれば、それは再び襲い来る
地を這うような声が響いた
イイナ……イイナ……
オマエタチ……ウラヤマシイ
ウラヤマシイ……ネタマシイ
ベステモーナは蒼白な顔で白い靄を払った
ドーム場に張られた結界は中から見れば白い靄がはられている
外からはベス達の姿は見えないはずなのに……
すぐ傍までまたデスイーターが迫っている
「嘘だ!ボクはさっきの奴らを十キロ先の森まで飛ばしたのに!」
「さっきの奴らじゃない!まだこんなに入り込んでたんだ!」
リーバは驚いていたがブラッドは鋭く言い放つ
濁った闇色の触手がのびてくる


