耳にこびりつく唸り声に鳥肌が立つ
形は分からない
いや、判断がつかないのだ
闇に包まれた森の中でもソレはハッキリと歪んで見える
フェイトは頭の中で警鐘が鳴るのを抑えられない
アレは……ヤバイ!
ドロリとしたそれがこちらに向かって触手を伸ばす
その瞬間、ブラッドは剣を振るった
ディンも高く跳躍する
「月の影 牙の届かぬ 我狼を裂け」
赤い閃光がディンの剣から放たれて、触手を潰していく
ブラッドが剣を振り下ろせば触手は切り裂かれる
膝をついたまま祈るように手を合わせたベスはずっと何かの呪文を呟いている
「アレはなんなんだ?」
「デスイーター、虚無より生まれた哀れな怪物」
フェイトの呟きに答えがあった
「お前!今までどこに」
右手からは赤い血が滴っていた
いつになく真剣な面持ちでリーバは何かの術を準備していたようだ
手にした長方形の紙をデスイーターに向かって投げ付けた


