ブラッドも内心、本気でフェイトの血を吸うつもりのなさそうなリーバにホッとする
リーバの発言にディンは特に何も言わなかったが、その瞳は物騒な色を灯したのだ
双子といえど、ディンの気まぐれな所や誰かに向ける感心は読めない
特に最近はフェイトとの関係が不思議でならなかった
少し前に不貞腐れたように嫌いだと言っておきながら、フェイトから離れようとはしない
ディンが一緒にいるため、ブラッドも少なからず関わっている
「冗談はこの辺で止め……」
ブラッドがリーバに釘をさそうと呟いた時だった
小さな風切り音のあと、ムッと甘い香が広がる
ベステモーナは目を見開いただけだったが、ディンやリーバ、ブラッドは違った
「え……?なっ、なんだ?」
「フェイト!手から血が」
咄嗟にベステモーナ以外の3人は鼻を押さえる
フェイトの手のひらは何かに斬り付けられたようにパックリと裂けていた
赤い鮮血があふれ出る
何が起こったかわからず茫然と手を見下ろしていたフェイトにベスは手を伸ばした


