裾の長いコートが風になびく
全身を黒と銀の装飾品に包んで2人の青年は、空に浮かぶ学園都市を見据えた


「主のご命令とはいえ、何でガキどものわんさかいるところに行かなきゃならんのかね?」

「……ワーズ……わがままダメだよ」

「そんな事はわかってんよ!ただ……ここにはアイツもいるだろ?」


好戦的な調子で1人は肩をすくめ、もう1人は淡々と無表情に言った
1人は嘲笑を滲ませて学園都市を見た


「なぁソルト、アンジェリーナはもう壊れたかな?」


その言葉にもう1人は答えることはなかったが、否定もしなかった



*******



ゆったりと、椅子に腰掛けたクラリス・アレイスターは待っていたようにタイミングよく紅茶の入ったカップを置いた

すると、すぐに校長室の扉が開かれる
ノックするのも惜しいといわんばかりに勢い良く開かれた扉の前には、アンジェリーナ・カルロッテが立っていた


「アンジー、何かありましたか?」


静かに問えば、どこか焦っていたアンジーは1つ息をついて姿勢を正した
そして硬い声で告げた


「………闇から使者がおいでです」


1つ瞬いて、クラリスは困ったようにため息をついた