前を歩くフェイト、ベス、ディンには聞こえない音量で囁く
「確かにヤバいかも。スッゴク美味しそう」
リーバの視線はフェイトに向けられている
最後の言葉は冗談のつもりだったがブラッドは鋭く睨んでいた
リーバは少し呆れたようにブラッドを睥睨する
「噛んだりしない。けど信じられないよ。いくら同じクラスだからって一緒に行動するなんて」
ブラッドは憮然と黙り込んむ
リーバは入学した時に『人間』の噂を聞いて自分は幸運だと思った
人間のいるクラスにはバンパイアが2人もいるのだ
バンパイア一族の掟として成人するまでは人間の血を吸うことは禁止されている
しかし、人間の血は何よりバンパイアの欲望を刺激する
食べられないご馳走を目の前に置かれるくらいなら最初から近づかない方が身のためだ
「なら……なんでお前は今、フェイトに近づく?」
ブラッドが慎重に聞けば、リーバは鋭い光を瞳に讃えて言った
「ねぇ、ブラッド……ボクのことよりディンを心配しなよ」
視線をディンに向けてリーバは続けた


