姿も行動も幼い子供らしいのに、プティ先生の瞳には大人の妖艶さが滲んでいた

「なんだコレ……」


フェイトは呆然として呟いた
間抜けな呟きだ


わかっていたはずだ
ここは魔法学園だ
けれど、この状況に陥れば誰だってそう呟くに決まってる



「もう!いきなり反抗ですかぁ?先生困っちゃう」


ぷぅっと頬を膨らませてプティ先生は言う
怒ってはいるのだろうが、全然恐くはない


しかし、この状況だけは空恐ろしい


フェイトと狼少年、おそらくヴォルフ・シュタインという少年は、プティ先生の投げた小さなビンの中に居た


周りにいた生徒達も目を見開いて驚いていた


「ベステモーナさんもー、こういう時は2人を止めてくれなきゃ」

「すみません、どうしても気になってしまいまして」


フェイトはビンの中でベステモーナを呆れて見つめる


(アイツ、ド天然だな)


空気が読めない厄介なタイプだ


「ヴォルフ君もー」


プティ先生はヴォルフの入ったビンに近づいて言った


「確かに、魔力が偏らないクラス編成になってるけどねー。学力のこともちゃんと考慮されてるのよー?貴方は魔力はつよいけど、学力がダントツで悪いからー、フェイト君と殆ど変わらないのよー?」



ビンの中でヴォルフは絶望したようにうなだれている
何か叫んでいるようだが、こちらには聞こえない
おそらくフェイトの声も外には聞こえないのかもしれない


(しかし、魔力強いくせに俺と同じくらいって……アイツ馬鹿なんだな)


ヴォルフは耳とシッポを下げてしょげている
その姿はまるっきり犬だ


学年最下位、というのはある程度覚悟はしていた
学力は魔法に関することも含まれていたため殆ど出来なかった