その手で溶かして

「いや……それは。」



理由を言ってくれないなら、私は断ろうと思っていた。



理由を言ってくれたとしても、その理由によっては断っていたか。



少しの間、沈黙が続き……


やっと遠藤君が口を開く。



「そのままを話したほうがいいよな。ヨシッ。」



私に向かっての言葉なのか、自分に言い聞かせた言葉なのかはよくわからないけど、遠藤君は理由を説明する気になってくれたらしい。



「本当は真雪をデートに誘いたかったんだ。でも、俺は真雪の好みも何も知らないから……思い付いたのが拓海の試合ってわけ。」