その手で溶かして

「真雪、駄目ってあれほど言ったわよね?」



「はい。」



ママは怒鳴るわけでもなく、口を開いた。



その口調に少しホッとした私だったけど……



それは束の間の安らぎだった。



「パパはね、あの子の母親と浮気してるの。」



「ん?」



小学6年生の私には“浮気”という言葉をきちんと理解してはいなかった。



聞いたことはある。



両思いの子が他の子のことを好きになったら、学校の友達は“浮気”という言葉を使っていた。



私にとってはそれくらいの認識。



「浮気っていうのはね、パパはママと真雪を捨てたの。」



「捨てたって?」



ママの言葉に、私はテーブルに身を乗り出した。