コツン、コツン……
窓に何かがぶつかる音がする。
たったそれだけのことなのに、私の頬には涙が伝う。
そして、今まで動かなかった体が、窓へと引き寄せられるように動いて行く。
「ユキ……。」
窓を開けた先には、優しい声で私を呼ぶウミがいた。
「大丈夫だから、降りてこい。」
ウミ……。
私はこのままじゃいけないの。
なんとかして。
私を元に戻して。
「俺はそこに行けないから、降りてこい。」
心の中で、ウミに助けを求めながら、これ以上ウミに近づいてはいけないと、もう一人の私がブレーキをかける。
「ユキ。降りてこないなら……。」
それは駄目。
それだけは……。


