私が玄関に足を踏み入れた時に聞こえてきた遠藤君の台詞、そしてベッドの乱れ方。



恋愛経験がなく、その類の知識が乏しい私にでも、この部屋で何が行われていたかくらいは想像がつく。



そして、サワと遠藤君がどのような関係になったのかも……



「誰でも良かったんだと思う。」



「サワでなければならなかった理由はないってこと?」



「そうだな……いっぱいいっぱいで、色んなことにうんざりしていた俺にアイツは優しかった。」



「…………」



これ以上、遠藤君の話を聞いてしまったら、私の中の遠藤君が完璧に壊れてしまいそうだった。



「偶然、会ったんだ。働いていた場所の近くで、偶然会った。ご飯を食べに行って、話をして……その時、俺はアイツに救われた気がした。自分でも幻滅していた俺のことを好きだって言ってくれたんだ。」



そこまで話すと遠藤君はチラリと私の顔色を確認して、再び話を進める。