その手で溶かして


次から次へとママの喜びそうな言葉を並べ、ママを丸め込む遠藤君の横顔を私は隣でじっと眺めていた。



この人は嘘を吐くことに慣れている。



そして、大人の喜ぶ言葉もよく知っている。



これから大人にならなければいけない私にとっては、真似しなければならないことなのだろう。



でも、何故だか不愉快だ。


こんな姿の自分を想像すると、吐き気がしそうになってしまう。



私の予想通り、笑顔で了承してくれたママに見送られ私は来た道を戻る。



「俺も着替えたいから、少し待ってて。」



「もちろん。私だって待っててもらったんだから。」


ウミと女が私服を着ていたこともあり、私は遠藤君に勧められ急いで私服へと着替えることになった。



その間、ママの相手をしてくれていた遠藤君。



嫌なら断ればいいのに……


ウミといることも、こうして広い家の中で一人で待っていることも嫌でたまらないのに……



どうして首を横に振ることが出来ないの?



今日に限って、断る言い訳が思いつかないの?