その手で溶かして


数秒遅れてウミもこちらを向いた。



一瞬、私に視線を向けてから、


「エン。久しぶり。」


と遠藤君に笑顔を向ける。



「拓海も卒業式か?」



歩み寄りながら、会話をする2人。



私は前に進むことが出来ずに、その場に立ちすくんでいた。



「そうそう。やっと卒業。」



「おめでとう。」



「サンキュー。」



「拓海は推薦で大学だったか?」



「そうなのぉ~頭悪いくせにラグビーの推薦で大学なんて有り得ないよね。」



2人の会話に突然乱入した女。



ウミ……進学するんだ。



「こいつは頭いいのに大学行かないんだぞ。」



優しい口調で女に話し掛けるウミがなんだか遠くに感じる。