その手で溶かして


まだ雪の残る道路を私は歩く。



この道を歩くのも最後なのだと、一応頭の片隅に置きながら……



「遠藤君はすぐにどこかに行くの?」



「えっ?俺?」



私に話し掛けられたことに驚いたのか、それとも内容に驚いたのか、目を見開いて私の顔を覗く遠藤君。



「卒業式では海外留学って言っていたから、もう予定が決まっているのかと思って。」



「あ~あれは先生達の面子を保つために言っただけ。海外留学どころか何も決まってない。」



「そうだったの。」



最後の最後まで自己保身に躍起になる大人達の姿が想像できる。