その手で溶かして


「真雪。」



卒業式が終わると、教室で最後のホームルームを行い、解散となった。



教室の中で遠藤君に名前を呼ばれるのは始めて……


というより会話を交わすことすら初めてだった。



「卒業だなんて実感ないな。」



「そうね。」



私はクラスメイトの視線を気にしながら、遠藤君に言葉を返す。