「寒いから、取り敢えずこっち。」 と言われ、手を引かれる私。 ウミの強引な手とは違い、温かい遠藤君の手。 私の歩幅に合わせ、手を引きながら歩いてくれる遠藤君の向かっている先はわからなかったけれど、拒むことはできなかった。 少し歩いた先で足を止めた場所には大きな一軒家が立っている。 「俺んちだけど、寒いから中にはいろう。」 「で、でも……」 親戚とウミの家にしか入った事のない私は、他人の家に入るということに抵抗があった。 まして、こんな大きな家に……