その手で溶かして


「それよりもお礼を言わなくちゃ。」



「お礼?」



そう。私を食い止めてくれた遠藤君に感謝してる。



「サワの口調に腹が立って、自分の気持ちを制御できない状態になっていたの。」



「あんなことを言われたんだから当然だと思うよ。でも、どうしてお礼になるの?」



当然か……遠藤君も私のように誰かに傷を負わせたことがあるのだろうか。



「遠藤君があのタイミングで来てくれなければ、私は怒り任せにサワを傷つけていた。そんなことをしていたら、きっと後悔していたと思うから。止めてくれた遠藤君に感謝してる。ありがとう。」