「寒くなってきたよな。」
「そうね。」
窓の外を眺めながら、ゆっくりと話をする遠藤君の声が私の騒ついた気持ちを落ち着かせ、何故か温かさまでもたらしてくれる。
「大丈夫か？」
「私は大丈夫よ。」
サワとのやり取りをどこから聞いていたのかわからないけれど、遠藤君の目には私が文句を言われていたように映っていたのだろう。
「無理しなくていいんだぞ。俺の前では、弱いところくらい見せてくれよ。」
弱いところ……
私の弱い部分って一体どこなのだろう。
自分でも、自分のことがよくわからない私にはそういったことを要求されるのが苦痛に感じてしまう。
